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技術提供の先にある“目指すべき企業の姿”へ導く
「水先案内人」でありたい

DX(デジタル トランスフォーメーション)を積極的に推進し、ビジネス変革を通じて自社の企業文化の変革に取り組む中堅中小企業の経営者は一体どれぐらいいるのだろうか。2023年1月に帝国データバンクが発表した「DX取り組み動向調査」によると、2期連続で増収増益を達成した中小企業の中でDXに取り組む企業の割合は52.3%、うち「業務効率化・生産性向上」への取り組みに「成果が出ている」と「やや成果が出ている」を合わせた回答は 69.0%に達した。しかし、ビジネス変革については同様に25.0%にとどまっているのが現実である。業務効率化やコスト削減、ユーザー体験の向上などに比べれば、DXの真の狙いとするビジネスや企業文化の変革へのハードルはより一層高いのである。

BELLグループのベル・データは、創業から現在に至るまで一貫してPower Systems(IBM i )を事業の中核に据えている。現在ではDX推進の支援を軸に、アプリケーション領域まで広げ、お客様の情報システムに関わるさまざまな需要に対応してきた。2020年10月より「第三の創業期」に入り、「技術探険と共創で、社会に安心を届ける」をパーパスに活動を加速している。

今回は、パワーシステム・エバンジェリストの安井賢克とプロジェクトファシリテーターの松永道子にレガシーシステムと誤認されるIBM i(AS/400)とDXとの関係性について話を聞いた。プロダクトベンダーとして、2人はどう顧客と接し、課題解決の提案を行っているのだろうか。

※出典:業績好調な中小企業の「DX」取り組み動向調査| 株式会社 帝国データバンク[TDB]

DXの本質を説き、お客様へ最適な施策・環境を提案していく

――安井さんは日本アイ・ビー・エムの初代エバンジェリストということですが、どのような取り組みをされているのでしょうか?

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- 安井
「2006年、日本アイ・ビー・エムはマーケティング施策の一環として、エバンジェリスト制度を発足させました。私は初代エバンジェリストに任命され、次第に複雑化する製品情報をわかり易くお客様や販売代理店様に伝えることを、主なミッションの一つとして担うことになりました。2017年にベル・データに入社してからは、社内外セミナーにおける講師のみならず、コラムを通じた定期的な情報発信や、教育専門会社における新人向け教育にも携わりながら、個別相談に応じるなどIBM i の認知度向上に積極的に取り組んでいます。その後2021年にはアメリカIBMが定めたプログラム『IBM Champion』に認定されました。IBM ChampionはIBM社員以外でIBM製品情報の発信に積極的に取り組んでいる、44名が国内の認定者として登録されています(2022年4月時点)。

――DXを推進する機運が高まる中、システム移行を検討する企業は増えていますか?IBM i(AS/400)を他サーバへ移行すべきと考える企業担当者へ向けて、どのように説明されていますか?

- 松永
「ベル・データは中堅中小企業の事業継続をインフラ面から支えることを目指し、ITプロフェッショナルとして伴走して支援、または最適な施策・環境を提案しています。特にニーズに合わせて柔軟に選べるIBM iクラウド環境の提供には力を入れており、100件以上(2022年10月時点)のご契約いただいてきました。

IBM i (AS/400)は古い技術と最新の技術を共存させるハイブリッド型システムであり、資産継承性が高く、古くシステムではないという点に優位性があります。私は、プロジェクトファシリテーターとしてこのポイントを伝え、お客様が主体となってDXを実施できるような支援を行っています」。

- 安井
「『DX=レガシーシステムの刷新』として古いシステムから他のサーバに移行するべき、という図式でとらえているお客様がいらっしゃるのは事実です。経産省がまとめた『DX レポート』において、この図式は DX の本質ではないとわざわざ断っているのは、この誤った図式が多くの企業に広まっていることの裏返しだと言えるでしょう。

DXが目指すのはビジネスや企業文化の変革であり、IT はそれを実現するための手段にすぎません。手段の方から先に検討するのは順序が異なるという趣旨で説明します。次いで先に述べた DX レポートの中の DX の本質の話をします」。

- 松永
「IBM i利用の有無に限らず、『なんでうちは古いシステムなの?』と経営層から言われ、困り果てたIT担当者から弊社に相談がくるケースもありますよね」。

- 安井
「そうですね。エバンジェリストとして、そういった中堅中小企業の経営層、またはIT担当者が抱える悩みについてはウェビナーを通して説明したり、手段と目的とを混同しないよう誤解を説いたりといったお話をします。ビジネス要件を煮詰めないままに、IBM i を Windows サーバに移行したいと漠然と考えるお客様もいらっしゃいます。そのような移行プロジェクトの失敗事例を説明することで、考える順序が違っていることに気づいていただいたケースは何度かありますね」。

IBM i だけでなく、本質的な課題に見合った技術を導き出す

――パワーシステム・エバンジェリストの安井さんとプロジェクトファシリテーターの松永さんのそれぞれの役割と、業務での関わりについて教えてください。

- 安井
「IBM 時代は日本の IBM i ビジネスに責任を持つ部門に所属していたので、IBM i を最優先に考えるべき立場にありましたが、ベル・データにおいてはそのような制約はありません。今ではIBM i を取り巻くサービスやIBM i以外のテクノロジーをご紹介するなど、ビジネス上の課題解決に最適な手段には何があるのかという議論まで広げて、お客様のニーズにマッチした答えを探すお手伝いをするのが、私の役割だと認識しています」。

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- 松永
「私の役割はインフラ部分を中心にお客様が本当に困っていることをヒアリングし、その解決策を具現化したご提案をすることから始まります。そしてご成約後はその提案内容を技術者に正確に伝え、予定通りに本番稼働を行うところまでが主な役割です。
安井さんがお客様との最初の接点で細かくヒアリングを行い、最適解を導き出します。私は営業とともに現場提案から受注後のプロジェクトコーディネーターとして、最後まで伴走するといった役割でしょうか」。

――IBM i(AS/400)以外の提案もされるんですね。

- 安井
「当社が対応するお客様の多くは中堅中小企業で、抱えている課題も多様です。大規模なシステム刷新の要望から、人事給与システムのような特定の業務システムのクラウド移行までさまざまなので、IBM i だけでは完結しない場合でも、他の手段で解決できることであれば、用途に沿ったテクノロジーのご提案を行います」。

- 松永
「もっと言えば、『ベル・データはIBM i に固執している』という誤解は避けたいと考えます。だからこそ製品や技術について正しい情報をきちんと伝えることは、何よりも重要なのです。私はお客様の意向を営業の立場で聞くことが多く、偏りのない情報提供をするため、安井さんの情報収集の方法や情報を伝える際の言葉選びなどのスキルを学んできました。そのおかげで誤解を解いたり、最新の情報を提供したりすることでお客様の悩みに応えることができていると思います」。

- 安井
「テクノロジーはあくまで手段であり、1つのツールです。私たちが重視することは状況を理解する過程でビジネス上の本質的な課題を導き出し、特定メーカーのツールや現行システムに縛られない手段で、最適な提案を追求することです」。

IBM i の優位性・継承性を伝え続け、市場拡大を目指していく

――DXを検討中のIBM i(AS/400)ユーザーのお客様から助けを求められる際、どのように接しているのでしょうか?

- 安井
「先ほど、IBM i に固執していないとお話しましたが、ベル・データではいかに従来のIBM iでDXを推進させるかについてもセミナーなどを通してお客様に提案しています。松永さんがお伝えしたように、IBM iはレガシー的側面とオープンな側面とが同居するハイブリッド型システムです。ゆえに、IBM i が提供できるテクノロジーのバリエーションは非常に幅広いものがあります。お客様のビジネス要件に基づいて、どのようなテクノロジーの組み合わせによってシステムを構築するのが最適なのかを見極め、お客様に納得いただくのが最初のステップになります」。

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――基幹システムの見直しが重要とお客様に伝えるのはなぜですか?

- 安井
「お客様の中には、テクノロジーの刷新を目的にAIやIoTの実装、クラウド化を求めるケースが多いのですが、目先のテクノロジーにフォーカスするのではなく、経済活動を支える基幹業務システムの見直しこそ、実は大切です」。

- 松永
「IBM i を古い技術と認識し、一から再構築しなくてはシステム刷新できないと思われているお客様も多く、過去の資産をすべて捨てることを前提とする検討が多いように思います。しかし、IBM iを長年使用されている場合は、生産管理、販売管理、人事総務といった企業経営の要とも言える『基幹業務』のデータが蓄積され、業務(現場)に即したアプリケーションになっています。必要な部分を必要な形式に変換して利用することで、より使い勝手のいいシステムになる場合もあると説明しています」。

- 安井
「IBM i は1988年に発表されて以来、高い資産継承性、多様な先端テクノロジーを取り込む柔軟性により、基幹業務と連携業務の2つをカバーし、さまざまな企業の基幹システムとして、なお現役で活躍しています。つまり、IBM i はレガシー的なテクノロジーをそのまま活かしながら、最新のオープンなテクノロジーと連携してビジネス変革を可能にする技術なのです」。

技術探険を通してイノベーションの本質に向き合う

――BELLグループはパーパスの中で「技術探険」を一つのキーワードとして取り上げていますが、お二人は「技術探険」をどのように見ていますでしょうか?

- 安井
「課題解決の方法を提案し、実装できるテクノロジーのバリエーションを拡げるため、ひたむきに追求する姿勢こそがベル・データが掲げる『技術探険』だと考えています。あくまでもビジネスに役立てるための『引き出しの数』を増やすことに視点を合わせ、それらの組み合わせの妙が価値を産む――。これこそがイノベーションの本質なのではないでしょうか」。

- 松永
「私たちは、本質的なビジネス上の課題をどういった技術で解決できるのか、その先にある目指すべき企業の姿やゴールまで導いていく“水先案内人”でありたいと考えています。先端技術に抵抗することない環境をお客様自身で整えていくための体制づくりを支援することも、『技術探険』の一つだと思います」。

- 安井
「システムを提案・実装したら終わりではないというのが、ベル・データの介在価値の1つだと思います。お客様にとって本当に必要な支援は何かを考えることは、長期的な信頼関係を築くことにつながると信じています」。

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テクノロジー活用でビジネス変革を推進する企業に、多様な観点からあらゆる課題を深く見つめ便益につながる技術の実証性を探し求めるベル・データ。安井、松永の両名はIBM i市場の拡大にコミットしながら、多くの中堅・中小企業が抱える不安を払拭するビジネスパートナーとして存在感を発揮すべく、未来を見据えている。

安井賢克

デジタルビジネス&マーケティング推進本部 マーケティング&ソリューション統括部
パワーシステム・エバンジェリスト

2017年入社。約38年在籍した日本アイ・ビー・エム株式会社より、ベル・データへ転籍。IBM所属時からエバンジェリストとして、IBM i とパワーシステムの優位性をユーザーや代理店に訴求していた。各所からセミナー参加の要望があれば、拒まず対応する柔軟さと飽くなき探求心に尊敬の念を抱く後輩は後を絶たない。

松永道子

デジタルビジネス&マーケティング推進本部 マーケティング&ソリューション統括部
プラットフォームビジネス推進部 部長

2000年入社。営業、業務改善を行う部署などを経てプラットフォームビジネス推進部に所属。「安井さんからお客様への有益な情報発信のスキルだけでなく、仕事への姿勢や人生経験など、多岐にわたる分野で意見をお伺いすることで、人間力の向上につなげられるように努力しています」。

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